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目次
DNSの概要
- 「www.yahoo.co.jp」のように「通信先を特定するもの」をドメイン名と言い、このドメイン名を探してくれるサーバはDNSサーバという。
- DNSの役割
コンピュータ上での住所であるIPアドレスを覚えておくのは大変なため、文字での名前(ドメイン名)を覚えるようにしている。 - ネットワーク層のプロトコルとしてはドメイン名を備えていない。そこで、DNSサーバがIPアドレスとドメインの変換を請け負っている。
- 上記を名前解決といい、名前解決は各アプリケーションやOSがドメインによるアクセスをしようとしたときにOS(DNSクライアント)がDNSサーバへ依頼する。
名前解決の情報共有
hostファイルの場合
- DNSが出てくる前は、ホスト名とIPアドレスの対応を定義するhostsファイルが使われていた。現在でも、会社内や個人等で利用している。
- Windowsでの配置場所
C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts - hostsファイルの場合は、1個のファイルを共有して使うため、組織間で情報共有したり情報を統合的に(一元)管理することは難しい。
DNSの場合
- ホストを管理している組織毎に、ホスト名とIPアドレスの対応関係を管理する。
- 組織内で変更すれば、インターネット全体に反映される仕組みになっている。
- (初期登録時や上位レベルの変更を除き、)ほかの機関に報告や申請をする必要はない。
ドメイン名の構造
- ドメイン名は、いくつかの部分に分割出来る。
www.yahoo.co.jpの場合
「www」はサーバ(ホスト)名、「yahoo」は組織名、「co」はセカンドレベルドメイン、「jp」はトップレベルドメイン、等と呼ぶ。
(ドメインは4階層とは限らず、2階層や10階層等様々な場合がある。各階層が何なのかはその時々に応じて変化する。) - ドメイン名からIPアドレスに変換することを名前解決といい、名前解決の要求を出したクライアントのことをネームリゾルバと言う。
- jpやnetやorg等のトップレベルドメインを管理しているのはルートネームサーバー。
- 各ネームサーバが管理する階層(ドメイン)のことをゾーンという。
上の例の場合、ヤフーが管理するゾーンはyahoo.co.jp配下、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が管理するゾーンはco.jp配下(jp配下もJPRSが管理)。
(※[]内には同じものが入る。) - 管理組織のドメイン(ゾーン)そのもの(のIPアドレスとドメイン名)は、上位のDNSサーバに管理してもらう。
上の例の場合、yahoo.co.jp自体は株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が管理する。
DNSの問い合わせ順序
- リゾルバ(OS等)が設定したキャッシュDNSサーバへ問い合わせを行う。
- キャッシュDNSサーバは該当情報を持っていればそれを返す。
- 該当情報を持っていなければ、ルートサーバへ問い合わせる。
- そして、ドメインの木構造を上から順番にたどることで、目的の情報があるDNSサーバーを見つける。
- その目的のゾーン情報を持っているDNSサーバから必要な情報を得る。
- 得た情報をリゾルバへ返す。
代表的なゾーンファイルのレコード
レコード | 内容 |
---|---|
SOA | ゾーンの開始・情報 |
A | ホスト名に対するIPアドレス |
NS | DNSサーバー |
CNAME | ホストの別名に対する正式名 |
MX | メールサーバー |
PTR | 逆引き用 |
IPアドレスとMACアドレスの連携
ARPの概要
- 宛先IPアドレスを手掛かりにして、MACアドレスを取得するプロトコル。
- 同一ネットワーク内のホスト宛の場合は、宛先ホストのMACアドレスを得ることになる。
- 異なる(別の)ネットワークのホスト宛の場合は、次ホップ(デフォルトゲートウェイ)のルーターのMACアドレスを得ることになる。
- ARPはIPv4とセットになっており、IPv6では使われない。
- 宛先IPアドレスに対するMACアドレスを知らない場合に、ARPによる情報交換が行われる。(知っている場合は行われない。)
- ARPはホスト(WindowsやLinux等)やルーターのOS等に実装されている。
ARPの要求と応答
- 送信元ホストからARP要求がブロードキャスト送信される
- ブロードキャストなので、全てのノードのNICが受信する
- 宛先ホスト以外では、そのパケットを破棄する
- 宛先ホストでは、そのパケットを受け取り、送信元のMACアドレスを取得しておく。
- 宛先ホストはARP応答を送信元ホストへ返却する。
- 送信元でARP応答を受け取り、宛先ホストのMACアドレス得る。
- その(ARPで取得した)情報は数分間キャッシュする。
IPアドレスとMACアドレスの併用
- 住所(宛先)を示すのはあくまでもIPアドレス。
- データリンク層のアドレスはなくても、全てブロードキャスト送信してしまえば送ることは出来る。それでは混雑してしまうため、データリンク層レベルでもMACアドレスを用いることで、ユニキャストの送信が出来る様にしている。
- MACアドレスは同じブロードキャストドメイン内で宛先を示すためのものであり、IPアドレスはブロードキャストドメインを跨いでも宛先を示せる。
- IPアドレスは最終目的地を示し、MACアドレスは次の宛先を示す。
DHCP
DHCPはIPアドレスを一括管理したり自動的に設定するためのサービスである。DHCPを構築済みの環境であれば、PC等をLANに接続するだけで、IPアドレスが自動的に(割り振られて)設定される。
サーバーとクライアント
DHCPを利用するには、DHCPサーバーを立ち上げる必要がある。サーバーに予め使用するIPアドレスの範囲等を設定しておく。
1台1台のノードのOSにDHCPクライアントが備わており、クライアントとサーバーでやり取りをして自動割り当てが行われる。
DHCP割り当ての流れ
1.DHCP要求をするときはDHCPサーバのIPアドレスを知らなくても良いようにブロードキャストアドレスの255.255.255.255で送出する。
2.DHCPサーバはクライアントに、以下の4情報を割り当てる。(主要な4情報)
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS。また、DHCPサーバはMACアドレスを利用して固定的に割り当てることもできる。
NATとPAT
ルータのNAT機能は2つIPアドレスを相互に変換する。グローバルIPアドレスであろうともプライベートIPアドレスであろうとも関係なく変換できる。
しかし、一般的にはグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを変換する。(それ以外の用途でも使うが、まれである。)
名称 | 内容 |
---|---|
静的NAT | グローバルIPとプライベートIPを1対1で割り当てる。管理者が一度登録したら、管理者が変更するまで、対応が変わらない。 |
動的NAT | グローバルIPとプライベートIPを1対1で割り当てるが、管理者は固定の設定せず、あいているグローバルIPをそのつど割り当てる。 |
PAT(NAPT) | グローバルIPとプライベートIPを1対多で割り当てる。1つのグローバルIPでLAN内の何台ものPCをインターネット接続するときに役立つ。 |
NATで通信するイメージ
パソコンAがサーバAにアクセスする場合(NATの場合)
内部(パソコン側) | 外部(サーバー側) | ||||
---|---|---|---|---|---|
内部ローカル | 内部グローバル | 外部ローカル | 外部グローバル | ||
A | 10.10.1.10 | 30.10.40.92 | A | 今回は無し | 180.100.100.1 :80 |
行き | 1.パソコンAからルータAまで | あて先 180.100.100.1 送信元 10.10.1.10 |
2.ルータAからサーバA | あて先 180.100.100.1 送信元 30.10.40.92 | |
帰り | 3.サーバAからルータA | あて先 30.10.40.92 送信元 180.100.100.1 |
4.ルータAからパソコンA | あて先 10.10.1.10 送信元 180.100.100.1 |
パソコンAとパソコンBがサーバAにアクセスする場合(PAT(NAPT)の場合)
内部(パソコン側) | 外部(サーバー側) | ||||
---|---|---|---|---|---|
内部ローカル | 内部グローバル | 外部ローカル | 外部グローバル | ||
A | 10.10.1.10 :24000 | 30.10.40.92 :26500 | A | 今回は無し | 180.100.100.1 :80 |
B | 10.10.1.77 :49900 | 30.10.40.92 :50688 | 今回は無し | 180.100.100.1 :80 |
その他のIP関連技術
ICMP とは
通信が届いているかどうかを確認するためのプロトコルである。
トンネリング とは
インターネット等のなんらかのネットワークで接続されている2点間を、仮想の回線(トンネル)によりあたかも同一点であるかのように扱えるようにすること。
VRRP( Virtual Router Redundancy Protocol ) とは
複数のルーターによるデフォルトゲートウェイの冗長化によって障害体制を高めるプロトコル。
次は、トランスポート層です。